海外FXは法人口座のほうがお得?メリット&デメリットをチェック

海外FXは法人口座のほうがお得?メリット&デメリットをチェック

海外FXに挑戦する際、法人口座を持つといった選択肢があります。そこで、そもそも個人口座と何が違うのかわからない方のために、それぞれの違いと法人口座を開設するメリット・デメリットなどについて解説します。
この記事を読むことによって海外FXで法人口座を開設する場合、どのようなポイントに注目すれば良いのかなどがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
法人口座を開設する場合におすすめの業者についてもまとめました。

海外FXにおける個人口座と法人口座の違い

口座の種類として、個人口座と法人口座のどちらを選択するのかによって、さまざまな違いがあります。代表的な違いについて解説します。

個人口座

個人口座の場合、税率は所得金額に応じて5~45%の所得税が発生する形となり、これに10%の住民税がプラスされます。累進課税と呼ばれる所得に応じて税金が上がるシステムであるため、海外FXでたくさん儲けた場合、税金も高くなる形です。
最大税率は所得税+住民税の55%で、所得の種類は雑所得となります。また、損益通算や損失繰越はできません。

法人口座

海外FXで法人口座を開設する場合、所得金額に応じて19~23.2%の法人税がかかります。これに法人事業税と法人住民税が加算される形です。
また、最大税率は法人税+法人事業税+法人住民税で約34%、所得の種類は事業所得となります。

個人口座との違いとして注目したいのが、利益に所得税が課されるのに対し、法人口座だと利益に法人税が課される点です。所得税と比較して法人税のほうは最大税率が安くなるため、海外FXにおける利益が大きい場合、個人口座と比較して法人口座のほうが税率を安く抑えられるのがポイントといえます。
損益通算は可能で、損失繰越についても10年まで認められます。

法人口座を開設するメリット

法人口座を開設することによって、さまざまなメリットが得られます。代表的なメリットは、以下の4つです。

メリット①経費に計上できる項目が増える

個人口座を開設する場合と比較して、経費として認められる部分が大きくなります。経費を増やせればその分利益から控除できるため、節税につながるポイントといえるでしょう。

個人口座の場合、FX関連の書籍を購入した代金や、同じくFX関連のセミナーに参加したような場合は経費として計上が可能です。
法人口座を開設する場合、これらの費用に加えて役員報酬や生命保険、家賃・光熱費なども認めてもらえます。節税目的で法人口座を開設しようと考えているのであれば、あらかじめどういったものが経費として認められるのか確認しておくと良いでしょう。

なお、個人口座の場合でも、FXで使う分のみであれば、パソコン代や、家賃・光熱費を経費として認めてもらうことは可能です。一方、法人口座の場合、事業に使うために法人名義で購入したものであれば、原則として全額経費になります。
もちろん、あくまで「FXのために使用したもの・するもの」が対象なので、法人名義で購入すればすべてが経費になるわけではありません。判断が難しいものなどについては、税理士など専門家へ意見を求めたほうが良いでしょう。

メリット②損益通算ができるようになる

損益通算についても法人口座のほうはメリットがあります。個人口座は他事業との損益通算ができませんが、法人口座であれば可能です。これは、個人口座では所得の種類が雑所得であるのに対し、法人口座では事業所得に分類されることも関係しています。

そもそも損益通算とは何かというと、節税対策の一つとして代表的なものであり、所得の赤字分を他の所得の黒字から差し引くことをいいます。赤字と黒字の相殺が可能であり、その年の納税額は、相殺した金額から計算される形です。
つまり、FX取引で想定していた以上に利益が出て税金が心配になったとしても、他事業で赤字が出ているような場合は、そこから損失分を差し引くことが可能です。結果として課税金額が少なくなるので、大きな節前につながるでしょう。

なお、個人口座であったとしても、アフィリエイトや仮想通貨といった雑所得については海外FXの総益と相殺が可能ですが、株での損益については相殺できない点に注意しておきましょう。
例えば、海外FXで300万円の利益を出せたものの、株では反対に300万円の損失を出してしまったとします。法人口座であればこれらを相殺して税金はゼロとなりますが、個人口座の場合は利益である海外FXの300万円に対し、税金がかかる形です。

メリット③損失繰り越しができるようになる

個人口座であれば損益通算ができると解説しましたが、場合によっては一度の損益通算では赤字が解消できずにマイナスになってしまうことがあります。その場合は、海外FXの法人口座であれば10年間の損失繰越が可能です。
損失繰越とは、仮に利益がマイナスになってしまった年がある場合、その後の年でプラスとなった時に相殺し、税金を抑える方法のことをいいます。

損失繰越ができるか否かは非常に大きなポイントです。損失繰り越しができない場合、税金については、その年のみで考えなければなりません。利益がマイナスになってしまった場合は税金がゼロになりますが、大きくプラスになった場合、税金が高くなります。
損失繰り越しをうまく活用することにより、節税につなげることが可能です。
これは、個人口座と大きく異なるポイントなので、よく確認しておきましょう。個人口座の場合、3年間まで損失繰り越しが認められますが、これは国内FXにおける個人口座の場合です。海外FXにおける個人口座の場合は、対象となりません。

海外FXを利用するデメリットとして、個人口座で損失繰り越しが認められていないことを大きな問題だと感じている方もいます。ですが、法人口座であれば損失繰り越しができるため、このデメリットを解消することが可能です。

メリット④税率面で恩恵を受けられる

法人口座の特徴でご紹介したように、法人口座のほうが税率面で有利になります。特に大きなメリットが得られるのが、海外FX取引で大きく稼げるようになった場合です。
税率は法人口座のほうが低く抑えられるため、FXでの利益が大きくなった時に税率が抑えられれば、それだけ節税効果が大きくなります。

法人口座を開設するデメリット

海外FX取引をする際に法人口座を開設するにあたり、いくつか注意しておきたいデメリットがあります。特に以下の3つのデメリットについてはよく確認しておきましょう。

デメリット①管理維持コストがかかる

まず、コストに関するデメリットが挙げられます。法人格を維持するためには、維持費が必要です。

例えば、仮に年間の売上がなかったような場合でも「均等割」と呼ばれる税金が発生します。金額は、資本金が1,000万円以下であれば法人住民税と地方税を合わせて約7万円、資本金が1,000万円を超えている場合は、約18万円です。

また、会社を設立するとなれば、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険などの社会保険に加入しなければなりません。こういった社会保険料の負担もあります。

社会保険労務士や税理士などを雇う場合は顧問料がかかることになります。法人化すると税金に関する手続きや管理が複雑になるため、なかなか自身で行うのは現実的ではありません。
そこで登場するのが、社会保険労務士や税理士などの専門家です。専門家に税金関係の業務を依頼すれば、自身は業務に集中できるのがメリットです。ですが、専門家を雇うには顧問料が必要になるため、コストのことについて考えておかなければなりません。

そもそも法人設立の際にコストがかかることについてもおさえておく必要があります。現在、すでに法人として活動しているのであれば、追加で法人設立のコストはかからないので、それほど大きなデメリットにはならないでしょう。

ですが、新規に法人を設立する場合、一般的に株式会社だと20万円以上、合同会社であっても6万円以上の費用がかかることになります。確かに法人口座を作ったほうが税率面ではお得なこともあります。
ですが、場合によっては法人口座を作っても思うようにFXで利益が上げられず、結果として法人設立コストだけが高くついてしまうようなケースもゼロではありません。

これから法人を設立しようと考えているのであれば、まずはどの程度の費用がかかるのかについて確認しておいたほうが良いでしょう。会社の信用度のことを考えると、経営者が自ら資金を出資する合同会よりも、株式発行で資金を集める株式会社のほうが上です。ですが、株式会社のほうが費用もかかるので、よく検討しなければなりません。

デメリット②利益を自由に引き出せない

利益を期待して海外FXに挑戦する方が多いものの、個人のFX口座とは異なり、法人FX口座の利益は、好きなタイミングで出金ができません。というのも、法人口座に入っている利益は法人が所有している財産にあたるため、仮に会社の社長だとしても許可なく出金した場合は横領の扱いになってしまうからです。

法人口座から利益を出金する場合、役員報酬または利益分配金として受け取る必要があります。ただ、この場合も好きなタイミングでの出金は難しいでしょう。
なお、役員報酬についてですが、一度決定した金額は事業年度の途中で変更ができないので、この点にも注意が必要です。役員報酬については、年度ごとに事業開始日から3カ月以内に決めるように定められています。
報酬の変更が可能な期間も法律によって定められていることをおさえておきましょう。

デメリット③解約の手間もかかる

個人口座を開設するのとは異なり、解約の際に手間がかかる点についても理解が必要です。解約するとなれば、再度登記簿謄本などの開示が求められます。
利益を求めて法人口座で海外FX取引を始めたものの、赤字が続いてしまっているといった場合についても同様です。個人口座のように簡単に解約はできず、手間がかかることになります。

なお、手間がかかるのは解約の時だけではありません。個人口座の時では必要なかったような手続きや手間などもかかってくることになるので、このあたりもデメリットです。法人口座を持ったことによって必要な手続きが増え、結果としてFXにかける時間が少なくなってしまうといった可能性も考えられます。

海外FXで法人口座を開設するタイミング

海外FX口座を開設するにあたり、法人口座を選択するメリットやデメリットについて紹介しました。これらを比較した結果、メリットのほうが大きいと感じているのであれば、法人口座の開設について検討してみると良いでしょう。

そこで考えたいのが、どのタイミングで法人口座を開設するのかについてです。考え方はいろいろありますが、一つの目安として、年間の利益から考える方法があります。
目安となる金額は、900万円以上です。どちらのほうが得をするのかについては、個人口座と法人口座の税率から考えられます。

例えば、年間の利益が~900万円とした場合、個人口座で適用される税率は23%なのに対し、法人口座は23.2%です。そのため、利益が900万円以下の場合、税率で考えると個人口座でいたほうがお得です。
ですが、年間の利益が900万円を超える場合、法人口座の税率は800万円超えの場合にかかる23.2%であるのに対し、個人口座だと33%となってしまいます。実に9.8%も法人口座のほうが低い税率です。

そのため、年間の利益が900万円を超えているか否かが個人口座と法人口座のどちらにすべきかの一つの分かれ目と言えます。

また、利益が700万円の段階でみてみると、個人口座だと33%、法人口座は33.2%なので、それほど大きな違いはありません。一方で法人口座は経費となる範囲が大きく節税しやすいこともあり、利益が700万円を超えた段階で法人口座を検討する方もいるようです。

ただ、注意しなければならないこととして、法人化した場合には前述した各種費用が必要です。確かに税率面で言うと法人口座のほうがお得になりますが、利益の金額によっては個人口座を選択しておいたほうが総合的に得をすることもあります。

このあたりは判断が難しいポイントでもあるので、利益が900万円を超えているのであれば、必ずしも法人化したほうが得をするとは言い切れません。
自身で判断が難しいような場合は、できれば海外のFX業界に詳しい税理士やコンサルタントといった専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

避けておきたいのが、何となく法人口座を登録したほうがお得な気がして法人化したものの、結局損失が大きくてすぐに廃業になってしまうようなケースです。
法人化するとなれば設立時にも費用がかかることになるのですが、同じく廃業時にも費用がかかります。
税理士などに依頼をして廃業するような場合は、追加で税理士費用もかかることになるので「何となく法人化したほうが良さそう」といった考えで法人化するのはおすすめできません。十分に理解し、シミュレーションもしたうえで決定しましょう。

参考:国税庁:No.5759 法人税の税率

参考:国税庁:No.2260 所得税の税率

海外FXで法人口座を開設する際のおすすめ業者3選

実際に海外FXで法人口座を開設する場合、どのような業者を選択すれば良いのでしょうか。おすすめの業者を3つ紹介します。

Gemforex

Gemforexは、豪華なボーナスキャンペーンを実施していることで知られる人気の海外FX業者です。口座開設ボーナスが用意されているので、自己資金にあまり余裕がないような方でもボーナスをうまく活用して取引できます。
また、入金ボーナスも用意されているので、ボーナスを重視して口座選びをしたいと考えている方にとっても選択肢に挙がるでしょう。
法人口座の場合は個人口座と扱いが異なることがありますが、Gemforexの場合は、法人口座でもボーナスを受け取れます。

注目したいのが、レバレッジの高さです。最大レバレッジは法人口座でも個人口座と同様の1,000倍となっているため、ハイレバレッジでの取引ができる海外FX業者を探している方にも向いています。
また、海外FX業者の中には法人口座を開設するにあたり必要な書類が非常に多いところも少なくありません。ですが、Gemforexの場合「会社登記簿謄本代表者」と「身分証明証」を用意すれば良いのが魅力です。あれこれ書類をそろえるのを面倒に感じている方もGemforexであればそれほど手間をかけることなく口座を開設できるでしょう。

iForex

iForexは1996年設立の会社であり、これまでに長年の歴史があります。日本人の利用者も多く、丁寧な日本語サポートが評判です。

なお、法人口座を開設する場合、個人口座を開設する場合と条件は変わりません。レバレッジ倍率に差が出るようなこともないので、わかりやすいでしょう。
法人口座を設立する際には、カスタマーサポートに連絡する必要があります。すると、メールで法人口座開設に必要な書類が送付されてくるので、必要事項を記入し、返信しましょう。iForexが内容を確認し、問題なければ受理完了のメールが送付されることとなります。
あとはカスタマーサポートの指示に従い、必要な書類を提出しましょう。審査が行われ、法人口座の開設が決まればログインIDとパスワードがメールで送付される形です。

なお、提出する書類は全部英語となっています。わからない場合は、日本語完全対応のカスタマセンターに問い合わせてみるのも良いでしょう。ただ、英語が全くわからない場合は1つひとつ確認をしながら入力するのはなかなか難しいといえます。
こういった場合は、行政書士などの専門家へ依頼することについても検討してみると良いでしょう。法人登録の証明書をはじめとした各種書類の準備が必要です。

AXIORY

AXIORYは約定力の高さで評価されている海外FX業者です。レバレッジは低めではありますが、スプレッドが狭いことや、サポートの対応が早いといった点で評価されています。
大きな特徴として挙げられるのが、法人口座にした場合、運用する資金量や取引量、期間など、さまざまな条件によって特別スプレッドが提供される点です。

法人口座の開設手続きは、Webから行えます。公式サイトの口座開設から法人口座の開設に進み、会社情報や取締役情報などを入力しましょう。続いて財務状況、投資経験などに答えて書類を提出します。必要な情報を入力したら審査が行われ、審査に通ればログインIDとパスワードがメールで送付される形です。

なお、登記簿謄本、設立定款、株主名簿、法人住所確認書類その他と必要な書類は多めなので、よく確認して不備なくそろえるようにしてみてください。必要書類は、個人口座を開設する際のものとは異なるので、よく確認が必要です。
書類は、画像データをアップロードする形で行うので、そろえた書類はスマホなどで写真を撮影しておくと良いでしょう。

個人・法人口座のどちらにするかは慎重に判断が必要

海外FXを行うにあたり、個人口座を開設するメリットやデメリットなどについて紹介しました。どのようなポイントに注目すべきかご理解いただけたかと思います。
注意点として、必ずしも法人口座を開設したほうが得をするものではありません。デメリットも比較したうえで検討してみてください。

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